完結漫画ブログ

完結漫画に特化したブログです。マンガ喫茶のお供にお役立てください

嘘つきパラドクス/きづきあきら+サトウナンキ(全10巻)

f:id:totaraka:20180522100022j:plain

この漫画のオススメポイント

好きな人に遠距離の恋人がいて・・・
諦められずに、代用品としての関係を提案した男。

なんとしても手にいれたくて半ば強引に交際をスタートさせてしまった男。

女友達の気持ちを分かっていたけど、男の強引な気持ちに押されてしまった女。

ヒロインの栖佑さんが、二人の男に求められる三角関係。男たちはどちらも諦めることができないから、と、彼女を共有することを提案する。歪んだ三人の関係は、誰も幸せにすることもできず・・・

ただただ、真剣に恋に向き合ってきたのに、ボタンを掛け違えたように上手くいかない。失敗は誰にでもある。だけど、誰が悪いってわけでなくても、難しく絡み合っていく恋がある。気づけば、まわりに言えないような恋のカタチ。

遠距離恋愛の代用品としての恋』からはじまった激しく絶望的な関係は、いつしか引き返せない泥沼の壮絶な関係の結末は?

どんな時にオススメ

どんな思いをしても相手を離したくないという恋をしている人(してきた人、したい人)。ちょっとエッチなラブストーリーを読みたい人。漫画喫茶で4~6時間で一気に漫画を読もうとしてる人。漫画ならではの非日常・・・歪んだ性愛と人間のドロドロとドキドキを味わいたい人

性愛の方向性が極度に潔癖症の人にはオススメできないかもしれません

私的感想

きづきあきら+サトウナンキ」先生の作品は、エゴの塊だったり自意識が肥大化してるような未熟な主人公が、歪んだ人間関係のなかから大事なものを見つけ出す成長が描かれている事が多いのですが、その歪んだ人間の描き方が秀逸で一押しの漫画家さんだったりします。某巨大掲示板では、支持する人も、批判する人も激しかったですね。ヒロインのビッチぶりが許せない人や、男たちの弱さが気持ち悪いと感じる人も少なくなかったようですが、個人的には、漫画だから許される世界観だと思っています。

連載してる雑誌のニーズのためか性愛描写が多いのですが、歪んだ人間関係の本質がにじみ出る感じが単なるエロ漫画と一線を画した作品となっています(もう少し、エロが控えめでも十分に語れる内容だと思うんですけどね・・・)。

本作では、遠距離恋愛の彼氏に浮気されたヒロインと、そのヒロインに恋焦がれる主人公の三角関係が描かれています。どちらも選べないヒロインが男二人に迫られるという『よくある関係』ですが、きづきあきら+サトウナンキ先生の手によって、激しくドロドロとした性描写と、歪みきった各人物の繊細な心情を絶妙なバランスの上に共存させています。にしても、こんな歪んだ関係になったとしても手に入れたい相手がいる恋愛って幸せな事なんでしょうかね。

読みやすい絵に、ついつい手を出してしまったら、その展開の深さに圧倒されると思います。実際に、こんな恋愛するのはハードすぎるかもしれませんが、ぐいぐい引き込まれる本作、普通の日常に絶妙なスパイスになるのは間違いないです。

ちなみに、映像化もされてるようです。私はまだ見ていないのですが、原作ファンは厳しい感想が多いみたいですね。

www.youtube.com

若干の…ネタバレ

一人の女性を巡って、どちらも身を引かない。多くの作品で扱われてきた三角関係ですが、本作では何と、男二人がヒロインをいろんな意味で共有してしまいます。つまり『三人プレイ』のセックルです、びっくりです。主人公の彼は、ここまできたら絶対手放さない!という姿勢だし、本命の彼だって失うわけにはいかないという姿勢だし。そこに挟まれたヒロインのことより、自分の大事な思いを貫こうとする二人の男。

でも、「好きな人の幸せを心から願うなら?」・・・その関係以外の選択肢はないのでしょうか。そこまで好きになれる人がいるって、幸せな事なのか、私には分かりません。それでも、物語の登場人物たちは、悩み苦しみながらも、自分が感じたものを大事にすることを選びました。

ぶっちゃけ、流されるヒロインが悪い!といえば、それまでなんですが(苦笑)、どちらも選べず、自分が我慢さえすればいいってなっちゃうのも分からないでもない気がします。それって結局、誰も幸せにならない感じなんですけどね。