完結漫画ブログ

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LOST MAN/草場道輝(全17巻)

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この漫画の概要・オススメポイント

スポーツ漫画というよりは、サッカーをモチーフに、主人公マツモトが自分のルーツを探しながら、人の生き様を描いたヒューマンドラマ&サッカー界の闇と戦うミステリー漫画なので、サッカーを知らなくても楽しめる漫画です。

マツモトはスーパーシュートを打つわけではありませんが、巧みな駆け引きでチームを勝利へと導きます。わかりやすくサッカーの楽しさを教えてくれる本かもしれません(よくあるサッカー漫画のように1試合で何十話もかかることがありません。スピーディな分、細かいところが省かれすぎと思うかもしれませんが、テンポよく読めるかと思います)

どんな時に読みたい?

半日漫画喫茶でじっくり漫画を読みたい人。 正統派サッカー漫画が好きな人には、どこのポジションも完璧にこなし、請け負った試合は絶対負けないとかありえないし、とか反発がでるかもなぁ(そんなご都合なトコも気にならないぐらいテンポの良く話は進んでいくのですが、そのテンポに乗り損ねると難しいかもなか)

私的感想

ルーマニアの二部リーグのパレスFCにカタールの大富豪が買収するという噂が流れる。それだけの財力があれば1部昇格どころか1部優勝そしてチャンピオンリーグに出場できるかも…だが、次の試合、負ければ監督は解雇されるという。そこに、「絶対的な勝利」を約束する男を紹介するというスポーツ代理人のサカザキが登場する。ただし、その男は1ゲーム5万ユーロという大金がかかるという。

サカザキが連れてきた男は記憶を失くした関西人マツモト。ポジションはどこでも。疑う監督の前で、超絶テクを見せるマツモトはSBとして試合に出るも、チームバランスが悪くなかなか攻めきれず苛立つ監督を後目に最後はマツモトのおかげで快勝。その後、チームは1部昇格を果たすも、裏の事情を知るチームメイトの反発を背にマツモトは次の試合に向かう。

そこから、ブラジル編・イングランド編と話は続いていく。どこのチームにいても、自分の居場所を作るために「勝利請負人」としてビジネスに徹して、周りを切り捨てるかのような行動をする彼の心の動き、そして、彼の記憶をたどる旅がサッカー界の闇を切り裂いていく姿に是非、注目してください。

試し読み(小学館eコミックストア)

若干のネタバレ

「試合に負けない勝利請負師」の日本人。日本人どころか世界中みても試合に負けない選手なんて、いるはずがありませんが、そこは、まぁ、いつものことですが漫画ですので(とはいえ、時々は意味のある負け方をしたらリアルな感じになったかもしれないのが惜しいかな)

そんなムチャクチャな設定でも、テンポよく読めるのは、サッカー漫画を描き続けてきた草場道輝先生のテクなのかもしれませんが、草場道輝先生といえば本作「LOST MAN」よりも「ファンタジスタ」の方が有名かもしれません。でも、「LOST MAN」は、ヤングサンデー(後、ビックコミックスピリッツ)と青年誌に連載されてきたので、サッカー以外のシーンでもいろいろと見せ場が多いので、こちらをオススメしてみたいと思います。

主人公のマツモトは凄腕のサッカー選手ですが記憶がない・・・つまり自分にとっての拠り所が不確かで、どこのチームにいっても試合に勝ち続けることでしか自らの証明ができないと思い込んでいます。そんな彼が、チームメイトとの関係性の中で自分の存在を浮き彫りにしていく様は、何かしら考えさせてくれるかと思います。

 主人公のマツモトが、マンUでスタメンを勝ち取ったり、イングランドフットボール協会の泥沼劇が出てきたり、サカザキもFIFAの重要ポストに就いてしまったり…と、現実的にはありえない感じではありますが、漫画ですので日本人選手がありえない活躍をしたとしても素直に受け取りましょう(そんな些事をつっこんでたら漫画なんて楽しめない!)。

 

にしても、全ポジションができなくてもいいから、マツモトみたいな選手が代表にいたらなぁ・・・