完結漫画ブログ

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7SEEDS/田村由美(全35巻)

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この漫画のオススメポイント

女性漫画で、これほどの冒険活劇が連載されていたとは!
少年誌のアクションものに慣れてる人は、騙されたと思って手にしてほしい。この奥深さを是非、味わってほしい

どんな時にオススメ

一日じっくりと腰をすえて漫画を読みたい人。冒険ものが好きな人。

私的感想

突然、嵐の海で今にも沈没しようとしている何かから目覚めた4人の若者たちが、無人島にたどり着いたところから本作は始まります。昨日は、家族みんなでごはんを食べていたはずなのに・・・。島には見たこともない昆虫や動植物が。彼らのピンチを助けてくれた謎の男は「ただの誘拐とか拉致とかは違う。これは政府のプロジェクトだ」という謎の言葉を残していなくなる。その後、沼でワニに襲われている3人の若者を助けた時、最年長のガイド役の女性が怪我をする。
その後、彼女は「このままうっかり死んだりしたらまずいから・・・」と、なぜここにいるのかを彼らに告げた。それは、世界に隕石が落ちる事を予測した科学者の報告を受けた各国首脳はあらゆる対策を協議し、最悪の場合として考えられたプロジェクトが「7SEEDS」。若く健康な人間を冷凍保存し地球の厄災が終わって人が住める環境に戻ったら解凍し放出するというこのプロジェクトに彼らが選ばれた事、そして各国それぞれでこのプロジェクトは実施され日本では他に5つのチーム(春・夏A・夏B・秋・冬)がつくられた事が告げられた。

最初の7人が問題児集団が夏B。そして、他のチームも同じように、日本の各地で目覚め、他のチームと合流して助け合ったり衝突したりしながら、新しい世界に立ち向かっていく、という壮大なサバイバルです。

最初、いかにも少女漫画な絵が苦手でした。さらに1巻のメインキャラのナツのうじうじとした感じが苦手で・・・。しかし、3巻の春のチームから登場人物が活発に動き始め、ようやく気持ちよく(笑)、読み続ける事ができました(ですので、できれば、1巻で諦めず3巻までは読んでみてください。できれば冬のチームが出てくる4巻まで)。運命を一方的に受け入れることもせず、すべてから抗うわけでもなく、悩み苦しみながらも、自分にとって大事なものを失わずに生きていこうとする彼らの姿に、なにかしら感じることがあると思います。
ようやく16年の長い連載が終わり、完結にいたった本作。世界観を広げすぎると、まとまりがなくなり終わりがグダグダになる作品も少なくないなか、本作は、きちんと結論を出しているので(若干、最後は駆け足気味だったかも・・・)、全35巻と多少ボリュームは多いですが、ぜひ最後まで読み切ってほしい。

間違いなく、オススメできる一作だと思います。

若干の…ネタバレ

7SEEDSプロジェクトの5つのチームは、それぞれが個性的で魅力的。優秀な人間ばかりでは破たんするのでは?と選ばれた落ちこぼれ集団の夏Bチーム、半数の人間が解凍に失敗した冬のチーム、「未来に行く」ために英才教育を受けてきた夏Aチームなど、それぞれが新しい世界に戸惑いながらも、まずは食糧などが備蓄されているという各地の富士をめざしながら、生存者を求め生き残る道を模索し続けます。

様変わりしてしまった日本のあちこちで、未来を託された各チームが交わる。

人を信じれないチームもいる。強い統率で絶望する心を押さえつけるチームもいる。人に出会うことを夢見て十数年さまよってたチーム(個人)もいる。いろんなチームがそれぞれのドラマを紡いでいく。過去からの思いも絡まる。そこに、希望を託して。

最終巻では、主義・主張の違いで対立を繰り返してきた、生き残った人たちが、暗くて長い道を苦しんで傷ついて救って救われてさまよって、最後に光の中をでることになる。この世界で生きていくために

今日の日をくたくたになるまで頑張って、明日が予定通り訪れる

それが当たり前になるように そんな世界になるように

 

当たり前の世界に生きていていることに、感謝して。
合う人、合わない人はいるけど、出来る限り、助け合える人を増やして。
どんなに苦しいことがあったとしても、今日の日をくたくたになるまで頑張って、泥のように体を休めて・・・また、次の日を精一杯いきていけるように

精一杯いきていけば、悩んでる暇なんてないんだと思います。この本を読んでたら、そんなことを考えさせられました。

生きることってなんだろう。いろんな答えがあると思いますが、この本なりの答えは、生きていく上で財産になるはずです。是非、手にとってみてください。