拝金/堀江貴文(原作)、竹谷州史(画) 全2巻
この漫画の概要・オススメポイント
Amazonの紹介文には、『ホリエモンの自叙伝的小説の漫画化』ということですが、原作の方の紹介文には『堀江貴文氏がライブドア事件を題材に描く青春経済小説』と。自叙伝的なのかはさておき、お金のチカラ、ヒルズ界の華やかさに闇・・・フィクションなはずなのに、ビジネス界の生々しさを感じさせてくれる気持ちの良い娯楽作品でした。
私的感想
主人公、藤田優作。戦って敗れたものを負け組というなら、ここにいるのは戦わない連中が集まっている場末のゲーセンにやってきた羽振りの良いオッサン。小銭を気前よくばらまくオッサンに仲間たちは追従し、次第にオッサン中心の王国が出来上がってしまった。不平等なこの世界の中で言い知れぬ劣等感から身を守る方法・・・それは、相手のリングに上がらないこと、と、オッサンに反発する藤田。しかし、ひょんなことからオッサンと話を交わすようになった優作は、オッサンが貸してくれた二百万を元手にビジネスをはじめることに
二百万で、何億も動かすようなビジネスの基盤となるゲームが生み出されるかどうかはギャンブルなところはあると思いますが、時代に上手くハマればそういうゲームが無かったわけでもなく・・・。そういう意味では夢のある物語かもしれません。
優作が企業した会社が上場し、世間知らずだった優作がきちんとしたビジネスの世界を語るのはちょっと違和感があったりするのですが(これがホリエモン本人であればきちんとした基盤があるのは当然なんですが)、そんな優作がオッサンの指示でプロ野球球団を買おうとしたり、テレビ局を買おうとしたり・・・
実際に、ホリエモンがプロ野球球団を買おうとした時とは話は全然ちがうのでしょうが、ひょっとしてそんな裏側があったとしても不思議じゃないはな・・・と思わせてくれるような勢いがありました。
日本には、お金を稼ぎまくる人に対するヤッカミや人格批判が少なくないですが、それは公正な目で見れているのでしょうか。ホリエモンがこの本で何を言いたかったか・・・氏に対する好悪は別の次元で冷静に考えることは、自分の引き出しを増やす良い試みだと思います。作品としても2巻とまとまっていてテンポよく楽しめるはずです。
あわせて、本作(原作)に対するホリエモンのインタビューも見てみると面白いかもしれません。
若干のネタバレ
本音をいえば、堀江氏のやり方はあまり好きじゃありませんでした。
ですが、氏の考え方が嫌いなわけでは無く、どちらかといえば食わず嫌いなところもあり・・・。
そんな時に、漫画喫茶で2巻という冊数が丁度よいなと手にとった本作。
ホリエモンか・・・と思いながらページをめくると、絵が好きな感じだったことと、ビジネス界をテーマにした作品は好みということもあり、読んでみると、いやぁなかなか面白い。
ストーリー自体はもっと大家がいるとは思いますが、そこはホリエモン。彼にしか書けない内容がビシバシ詰まってて、それだけでも一読の価値があると思います。
先に書きましたが、なぜかお金を儲けることを嫌悪する日本人は、お金を稼いだ後、そこから先にいい印象が無いのだと思います。本作でも上場後の優作はお金のチカラで次から次に若い女を抱き、高級ワインを貶めるような飲み方をします。そういう様が好きになれない・・・突き詰めるとそれができるカネのチカラを持っている人が羨ましいのだと思います。その気持ちは認めなきゃいけない時代なんだと思う。
ただ、お金があっても無くても大事にできることもある。でも、お金がなければできないこともある。ホリエモンの宇宙チャレンジとか、夢をもつ若手に協力する姿勢とか・・・それが単なる人気取りなのかもしれないけど、それによって羽ばたける人がいる。お金持ちにやっかむだけじゃ、これからの時代は戦えない。この本はテンポもいいし、読みやすいし・・・出会っておくべき本だと思います。