白衣のカノジョ/日坂水柯 全6巻
この漫画のオススメポイント
職場の同僚である理科教師の桑原と、養護教諭の支倉。同じアパートの一階と二階に住むふたりは、誰にも知られないよう、ひそやかに恋を育んでいる。学校で、自宅で、お互いを思って静かに心を燃やしながら。…でも、あと一歩が近づけない。
どんな時にオススメ
漫画喫茶に3~4時間ぐらいでキリのよい漫画を読みたい人。抒情的な大人の恋愛が好きな人。白衣萌え。眼鏡萌え。理系畑。おだやかな恋愛を感じたい人
私的感想
あは同じアパートに住む、介護教諭支倉先生に翻弄される理科教諭の桑原先生。時々、部屋に寄って一緒に軽く飲んだり。ある日、お酒を飲んで酔っ払ってそのまま寝てしまった支倉先生。寝ぼけてて、一人でモゾモゾと・・・
まぁ、漫画ですから非現実的な出来事も起きますし、それが男にとって都合のよいツボな話でもよいわけで。
ただ、簡単に男女の仲にならないのが(仕事の同僚ということもあり)、じれったくて、でも、二人のやりとり(はた目にはイチャつきぶり)がほのぼのしてしまうのは、お互いが相手のことをちゃんと思いやってるから。そのくせ、うまく伝わらない恋愛スキルの低さも嫌じゃない、そんな作品。
派手な展開は無く、独特の緩やかなゆったりとした行間を楽しむ作品なので、激しめのエロなんかは期待できません。そのかわり、丁寧に丁寧に積み上げられた関係性を読み取れる人には堪らないかと(そのあたり・・・読む人を選ぶ作品かもしれません)。現実的には、こんな『おいしい関係』なんてそうそう無いでしょうけど、まぁ、漫画ですから^^
心に残った台詞
うまく距離感をつかめていない桑原先生に、ヒロインの支倉先生が若干の八つ当たりをしてしまった時の、桑原先生の言葉
お前だって俺の 無茶な要求を聞き入れたり
―赦されたり
ー赦したり関わっているっていうのはそういう事じゃないのか
ムチャって自覚あるんですね、という応えに
・・・そう云うのを聞いて貰えるのがいいんだろ
人と、人との関係は、いろんな衝突が尽きないけど、当たり前だけど、それを赦しあえることが大事なんだなぁ、と。
若干の…ネタバレ
男女の肉体関係を1話ぐらいひっぱることはある。けど、ここまで引っ張られると逆に潔いという漫画。結局、お互いがお互いを思いやってるとはいえ、ノロケですよ、ノロケ。延々とのろけを聞いてるような感じの漫画。友達のノロケをずっと聞かされたら「勝手にやってくれ」と思っちゃうところですが、そうならないのは、こういう初々しい関係に、懐かしさや、どこかしらの憧れがあるかもしれません。
この、イチャイチャした「のろけ」は最後の最後まで裏切る事なく続きます。もちろん、途中で、誤解やすれ違いも山ほどありますが、なんだかんだと一生懸命キマジメにイチャイチャし続けてます。
根本にあるのは、お互いがきちんと向かい合ってること。いい面ばかりじゃなく、恥ずかしいところも、ドロドロしたところもちゃんと向かい合う。当たり前のことだけど、むずかしい。それをきちんとしようとする姿勢が何より好感のもてる作品だったと思います。