めぞん一刻/高橋留美子(全15巻)
この漫画の概要・オススメポイント
うる星やつら、らんま2分の1、犬夜叉、境界のRINNE・・・と名作を次々に生み出した高橋留美子先生の人情ドラマ。非常古い木造アパート「一刻館」にやってきた新しい管理人さん(響子さん)は、死んだ旦那に操をたててる未亡人。亡くした恋を忘れられない彼女に恋心を抱く5号室に住む五代裕作(浪人生)。二人の淡い恋愛模様を中心に、個性的な人々が集う一刻館で起きる涙あり笑いありの物語、あじわってください。
私的感想
基本的にラブコメといわれるジャンルですが、とにかく昭和な人情ドラマです。今となっては古臭く感じるところもあるかもしれませんが、普遍的だと思います。そして、こういう一途で、手もつなげないような男目線の純愛は、大事にしなければいけないような気がします。
でも、大事にしすぎると、こじらせます(自分がそうでした)。
第1巻の頃は、絵柄も安定せず、今となってはちょっと古い感じがして、「古典でしょー」って諦めてしまう人も少なくないかもしれませんが、今の時代に無くなってきてる純愛がいっぱい詰まってます。で、本作の登場人物たちに恋しちゃうと、こじらせます(笑)。おかげで、ヘタな恋愛しかできませんでした(苦笑)。
と、個人的な話はさておいて・・・本作の読みどころ。
まず、毎回読み切れるドタバタな人間模様。特徴的な憎めない登場人物たち。不思議なへびおじさんに、すけすけランジェリーなお姉さんや酒樽おばさん、そんな濃いキャラに囲まれ浪人を続ける若者の前に現れた管理人さん。出会った時は浪人生だった五代が社会人になるまでの数年間・・・他の女性にふらふらすることもあったけど、大事にし続けたヒロインへの思いは、今の時代にそぐわないかもしれないけど、本当に素敵なこと。
本作に出てくる主人公の五代くんみたいな生き方、ずっと思い続ける大切さを感じれる本作を手にとった人は幸せですよ。で、その幸せは読み手の心の中で新しい幸せを生み出してくれると思う、そんな本です。
めぞん一刻が好きな人に悪い人はいませんよ、そんな風に思えちゃうのです。
若干のネタバレ
多分、本作について語ると止まらないと思います。
小学生のころ、ラーメン屋においてあったビッグコミック。当時の漫画は劇画調のものが多く、子供心に怖かった。そんななかで、絵も親しみやすく、へびおじさんをはじめとした個性的なキャラに惹かれ、子供でも話がわかりやすかった『めぞん一刻』に心を奪われました。十代の頃は、めぞん一刻で女心を覚えてしまって、それが良かったのかどうなのか分かりませんが・・・で、先に書いたようにこじれてしまったり。
主人公の五代君が憧れた管理人さんの心の中にはずっと亡くなったご主人がいて、管理人さんは五代君のことを少しずつ意識するようになっても、大事なものを複数もてない不器用な彼女はなかなか先に進めず・・・五代君も五代君で奥手で世間知らずで優柔不断で、失敗ばっかりだけど、愚直に管理人さんを思い続け・・・
そんなんだから、一度好きになった人をいつまでも忘れられないような学生時代を過ごすハメになって・・・でも、本作は学生時代のバイブルでしたね。
大人になっても忘れちゃいけない大事なものをいっぱい教えてもらいました。いつまでも大切な作品です