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シマシマ/山崎紗也夏(全12巻)

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この漫画の概要・オススメポイント

自身も睡眠障害のある主人公の女性シオさんと、イケメン草食男子4人との添い寝斡旋のお仕事『ストライプシープ』ををめぐるお話。寝れない人の心の不安を少しでも軽くしてあげたいと始めた添い寝ビジネスは多くの女性を救うものも、次第にシオをめぐって恋心が動き出し・・・ストライプシープは少しずつ様相をかえていく・・・。

私的感想

最初、本作を手にとった時、JOURとかKISSとかの女性雑誌の連載かと思ったのですが、なんと青年誌(モーニング)。

でも、女性が・・・特に不眠経験のある人は感情移入しやすいと思います。また、4人のイケメンたちの頑張りも読んでて好感持てると思うのですが、草食系でない男性目線だとなかなか感情移入しづらかったです・・・。それでも、話はすごく面白いので、12巻という巻数もあっという間に読めました。

また、多くの女性が抱えている不安とか悩みがリアルで、いろんなタイプの女の子への接し方とか、けっこう勉強になります。現代の女性は、本当に、多くのストレスに囲まれていますからね・・・。

だからこそ本作で扱っている『添い寝ビジネス』は、「あれば使いたい」という女性も多いと思います(実際にできないかちょっとホンキで考えたりしました。おネエな人の添い寝ならできるか?!)。でも、やっぱり現実に考えると、どうしても肉体関係や恋愛関係・・・微妙な問題がついてまわると思います。漫画の中でもそういうトラブルは生じますが、そこは比較的うまく切り抜けてくれます。

どちらかというと、添い寝屋のスタッフと、オーナーのシオさんとの関係が徐々にドロドロしてくるのですが、男の子たちは基本的に草食系なので、こじれるというより、煮え切らない感じで・・・。また、最初の「添い寝」部分が非常に面白かっただけに、徐々に恋愛臭が濃くなってきたあたりで、「う~ん・・・」と思わなくも無かったですが、絵柄も構成も爽やかなので、気持ちよく読めると思います。

ラストに否定的な意見が多いようですが、個人的には、そんなひどいとも思わなかったです(このあたり、ネタバレの方で書いてみたいと思います)。

若干のネタバレ

物語のクライマックスで、ストライプシープのガイ君とランちゃんという二人の草食イケメンから迫られたシオさんがついに決断することになりますが、なんと二人とも振られてしまいます。・・・結局えらんだのは、ほんのちょっとしか出てこなかった変態野郎って何なの?!という声が多いようですが、私としては納得できるラストだったりします。

男だからって頑張らなくてもいい時代に生まれた草食系の添い寝屋のメンバーの価値観と、何だかんだと個性的な男に惹かれて苦労するシオさんとのどちらの価値観が正しいかなんて答えは出るもんじゃないと思います。いや『正しい』か、どうかなんて関係なく、当事者が納得できるか、どうかが重要で・・・彼女が納得足できなければ関係性は成立できなかった。シオさんにとって草食の彼らの価値観は『添い寝ビジネス』にとってはアリだったけど、恋愛対象ではなかったということ。
そして、彼らの振る舞いに悩んだおかげで(彼らに反発することで)、彼女もきちんと前を向けるようになる。仕事もきちんとこなし、精神的にきちんと自立することができた彼女は、たとえまた一人になったとしても、不眠に悩まされることは無いでしょう・・・めでたし×2

精神的に自立することの大切さが描かれていて、それができたのはシオさんだけなのはちょっと残念。ランもガイも、最後まで、彼女の気持ちが分からなかったようで・・・それを彼らが理解できれば良かったと思うけど、それはまた別の話なのかもしれませんね。