完結漫画ブログ

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少年Y / ハジメ原作 とうじたつや画 全8巻

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この漫画のオススメポイント

学校に馴染む事が苦手な主人公の栗原ユズルが転校初日に教室に入る前に思った面倒臭いという気持ちがキッカケで、クラスメイト全員が死んでしまう。
神様とその使いによる「命の格付け」をめぐるゲームがはじまります。

どんな時にオススメ

非現実的な話を読みたい時。漫画喫茶で、3~4時間で読める漫画を探している時。
少年誌御三家(ジャンプ、マガジン、サンデー)とは、ちょっと一線を画した感じの多いチャンピオン連載。御三家にも似たような漫画がありますが、その御三家とはまた違った切り口を楽しめる人にはオススメできると思います。
ただし、肉体的苦痛を描くような残虐な場面が苦手な人は手を出さないでください

私的感想

クラスメイトの命をかけて「選択」を求められる・・・という、非現実的な話です(でも、まぁ漫画なので、そのあたりを突っ込んでいたらキリがない)。よくあるパニックモノといえば、それまでなんですが・・・適度なボリュームとスピード感で8巻で小気味よく完結する本作。人気がでたから無理やり引き延ばしたり、逆に人気がないから話を打ち切る某誌では出せないバランスの作品かもしれません(とはいえ、1つ1つの選択の内容に無理があったりするのはご愛敬で)

主人公のユズルは、今まで他人とのかかわりを極力せずに生きてきた少年。そのくせ、「友達が出来ない人」と思われたくないという自意識の強さ。
その主人公に対し、次々と神様が命の選択を強いてきます。たとえば、この中から1人死ななかった事にするからだれかを選べ、といった具合に。まだ、クラスメイトの事なんて何も分からないユズルが悩みに悩んで誰を選ぶか・・・気になりませんか?
ただの記号だった名前の裏にその人の生活があり、人とのかかわりがあり、どの人を生かすか(どの人を殺すか)に正解はありえませんが、ユズルはその選択を強要されていきます
ユズルの選択を楽しんいる神のその中で、この選択を求めてきた者の存在が少しずつ見えてきます。

若干の…ネタバレ

昔からよく言われてる「沈没船の話」。船が沈んで救助船にあと1人しか乗れない状態で、どう振る舞うか・・・
人生の中で、そこまで大きな選択でなくても、小さな選択は数多く選んできていると思いますが、その「選択」をテーマにした本作。
本作で描かれているのは「きちんと向き合って選択してきたかどうか」ということ。自分にとって大事なことは、他人にとってそうでないことはザラにある。その逆も、またしかり。
でも、それが正しいかなんて分からない方が圧倒的に多い。じゃ、どうするか。だからこそ、選択は真摯に向かい合う必要がある。きちんと向かい合っていれば、信じてくれる人は納得してくれるはず、ということになってきます。

漫画の主人公でない私たちの小さな選択の1つ1つでも、この物語につながるようなドラマの種があるのかもしれません。ですが、安全なところから非現実な選択をハラハラしながら読めるのは、漫画ならではの醍醐味かもしれません。