完結漫画ブログ

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時計じかけの姉/いけだたかし(全3巻)

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この漫画のオススメポイント

 コミュ障、ブラコン、ストーカー気質でコンプレックスのかたまりのような天才時計技師の姉と、悲しい事件で亡くなった美しい弟、その姉を心配する同級生という図で描かれるヘンタイストーリー。天才的な頭脳を持つ姉が作ったのは、死に別れた弟に瓜二つのセクサロイド。弟に模したアンドロイドが様々な男に抱かれる様子を覗いては興奮する姉・・・

情緒のある世界観は単なるエロ漫画の枠に収まらないマニアックな作品(といっても、ジャンル的には非エロな青年誌の連載なんだけども)。苦手な人は気持ち悪くて絶対に無理だろうけど、なかなか他にない作品です。大声では言いにくいけど勧めたい・・・そんな作品です。

 

私的感想

今まで、1作者1作品として完結漫画を紹介してきたのですが、今回はじめて、そのルールを逸脱することになりました。このルールで書いてたら、いつかは書くべき作品を選ぶことが難しくなるとは思っていたのですが、その時はもっとメジャーな作品になると思っていたのです。まさか、この『時計じかけの姉』を紹介することになるとは、私もまったく予想していませんでした。

前回、いけだたかし先生の作品を紹介したのは「34歳無職さん」でした。とてもホノボノした温かい作品だっただけに、そのギャップに驚かされました(ぎゃふん)。他にも先生の代表作には「ささめきこと」というものもあるのですが、これは女子高生の純愛モノで、同性の恋愛とはいえ綺麗に描かれていた作品だった。そのいけだたかし先生が、なんでこれ?って・・・はっきり言ってエロです

先に書いたように、設定が多いです。ショタ、ロボット、近親相姦、ぽっちゃり、ホモ、こじらせ、ストーキング、寝とられ・・・よくもまぁ詰め込んだ。中心キャラがこれだけ歪んでいて、これだけの要素を詰め込んで成立してるのが、とにかくすごい。

さらに、無駄にギャグも入ってくる。プレイが激しすぎると頭のとれるロボット。究極超人あーるを彷彿させるような設定が個人的にはツボだったりするけど、とにかくテンコ盛り。

 

(個人的には)エロスは生き物の根源にあるものだと思っていて、それは人それぞれ多様なものだから興味深いと思っているのだけど、時代が時代なら有害図書として扱われるかもしれない。商業誌ではなかなかチャレンジだったと思います。さすが、幻冬舎!(いい意味でw)

↓気になった方は公式サイトで試し読みができますよ↓

時計じかけの姉 - デンシバーズ

若干の…ネタバレ

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アンゴルモア 元寇合戦記/たかぎ七彦(全10巻)

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この漫画のオススメポイント

 

蒙古襲来という、あまり馴染みのない歴史・・・さらに対馬という小さな島での戦いを扱った意欲作。

政治抗争で罪人とされた鎌倉武士の朽井迅三郎が圧倒的な兵力をもつモンゴル軍と合間見える歴史ロマン。圧倒的物量に対して寄せ集めの寡兵をもって粘り続ける彼らは生き延びる事ができるのでしょうか。

 

私的感想

鎌倉幕府衰退の原因ともなった二度の蒙古襲来のメインの戦いは九州の地で行われますが、本書で描かれるのはその序盤戦。小さな対馬に圧倒的な蒙古軍が攻め込んでくるところが描かれます。勝てるわけないです。ただ、小さな島が戦場ですので、大軍が展開できない・・・そこに一縷の望みを見出すしか無いのですが・・・。

本作では、主人公朽井迅三郎をはじめとし数人の男たちがて罪人として対馬に流されたところから始まります。そこで、強大なモンゴル帝国が攻め込んでくるということが分かります。後世に生きる私たちは、それが元寇という戦いで神風が吹いて日本が助かることを知っていますが、その前哨戦である対馬での戦いはあまりよく知りません。全10巻で、いわゆる神風までは辿り着けないだろうし、どうするんだろ…と思いながら読んでましたが、案の定、キリのよいところで上手くまとめてくれてますので安心して読めるかと思います(この後、九州編が続くとか続かないとか…)

作者自身が歴史への造詣が深い方なので、エンターテインメントとしての歴史の面白さと史実に忠実であろうとする部分のバランスを凄く悩まれていたようですが、対馬という小さな島での戦いの見どころが凝縮されて描かれています。圧倒的なモンゴル軍に対して出来る事といえばゲリラ戦。しかも女子供や傷病者を守りながらの戦いですから、普通なら一方的に蹂躙されて終わるはずなのです。

ただ、ある男との約束で、1週間持ちこたえれば本国から援軍が送られることになっており、何とかその1週間を持ちこたえようとするところが当面の課題なのですが…さて、援軍は間に合うのでしょうか。

若干、主人公が強すぎるけらいはありますが、圧倒的なモンゴル軍の前ではそれぐらいのハンデも容認されてよいかと。話の流れはバランスも良くあっという間に引き込まれる歴史ロマンに仕上がっていると思います。若干、伏線が回収されてないところもありますが(主人公と同じ義経流を使う相手があまり出てこなかったとか)、それは、対馬編が終わった後の九州編で描かれるのかもしれません。

過去になかった蒙古襲来という題材をモチーフにした意欲作。歴史好きには思わずニヤリとするシーンがいっぱいだと思います。軽い気持ちで手にとったら、あっという間に引き込まれる事、請け合いです。

 

www.kadokawa.co.jp

若干の…ネタバレ

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