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薔薇と豚/伊藤いーと(全2巻)

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この漫画のオススメポイント

ジャンププラスで公開された「薔薇と豚」(全2巻)。少年誌で扱われるSMということで性的なことは少なめですが、その分、女王様ぶりが絶妙。

絶妙なテーマに反発も多かったのか、見事に打ち切りな感じで2巻という少ない冊数で終わっていますが、終盤も失速することなく、むしろやれるところまでやりきった感が半端ない異色作。

主人公の冴えない普通の高校生である百瀬とクラスの人気者の指原さん。当然つり合いのとれない二人でしたが、百瀬がウサギに語り掛けた「俺も指原さんの癒しになれたらなぁ」というセリフを彼女がたまたま立ち聞きしてしまったところから、ちょっとおかしなことになり…

好きな人に構ってほしい、そんな十代の青い男の妄想と、自分の枷を安心して吐き出しているヒロインの薔薇っぷりを、是非たっぷり楽しんでみてください!

 

私的感想

ちょっと(かなり?)変な作品。まぁ、テーマがSMですから普通ではないです。
とはいえ、少年誌掲載ですから性的には抑えめなのですが、逆にそこにフェチ臭がプンプンと…。冴えない主人公百瀬がウサギに話しかけてた

「俺も指原さんの癒しになれたらなぁ」

という独り言をたまたま聞いてしまった指原さん。

消しゴムを落としてコミュニケーションをはかろうとした百瀬の消しゴムをわざと蹴り、取りに立ち上がった百瀬に足をかけた挙句、わざとスカートの中をみせニヤリとする百瀬さんの表情が絶妙で。
混乱する百瀬にむけて、唇の動きだけで「ブ」、「タ」と百瀬を罵る指原さんと、体に電気が流れたような刺激を感じてしまった百瀬。
そして普通ではない二人の関係が始まっていくのです。

その後、指原さんとは違った魅力のあるギャルまい先輩の登場で、さらに豚男児として開花していく百瀬。

更衣室のロッカーに閉じ込められたり、女子の水着を着せられたり小さな子供の前で豚の真似をさせられたり、どんどん扱いが酷くなる百瀬。そりゃ、こんな話を長期連載するのはPTAが許さないだろうなぁ、て感じですが、次第に増した百瀬の豚オーラが林間学校では他の女生徒にも伝わりだし…

大パニックを引き起こし、そしていつの間にかSMラブコメがジャンプお得意のバトルものに!(おそらく、このあたりで打ち切りが決まったのかな?開き直った感が半端なくて良)

ちょっと変わったラブコメですが、あっという間に2巻を読み切ってしまうと思います。万人に勧められる漫画じゃないかもしれませんが、たまには違うドアを開いてみては?

↓気になった方は公式サイトで試し読みができますよ↓

 

shonenjumpplus.com

www.s-manga.net

若干の…ネタバレ

 

SMというネタで奇抜な漫画に仕上げた・・・そんな風に読めてしまうかもしれない本作ですが、ジャンプ+という少年誌でありながら、ライトなSMを描きながら人のエゴにきちんと向き合っているように思います。

特に僕がいいな、と思ったのが林間学校でのワンシーン。
全裸でボディペイントされて肝試しをさせられた百瀬に対して、
「みんな百瀬くんが服を着ているって思いこんでるから気づかないんだよ。思い込みってすごいの」
という指原さん。
その後ポツリと「時に・・・それは、とても面倒なんだけどね」とこぼすシーンがあるんですが、どんな人でも外から思われる自分ってちょっとした枷になっているんじゃないでしょうか。

指原さんもいい子の優等生という偶像…そんな立場でストレスをためこんでいたのでしょう。彼女だけでなく、ギャルのまい先輩、卓球部の後輩の杉浦優乃、保健室の先生・・・みんなそういう枷をもっている。そこに、百瀬の豚オーラが無意識のうちに彼女らの枷を外しだし…。

誰彼かまわず豚オーラをまき散らす百瀬。緊張と緩和がもたらす気持ちよさを覚えてしまった彼は、淫豚から神豚なみのオーラを出すまでに。百瀬の「もっといじられたい」オーラは無尽蔵にあふれ出し・・・

でもね、最後はお約束な感じで「愛」なんですよ。
指原さんの隠しきれてない独占欲も可愛らしいし、それに気づかない百瀬って存在も鉄板だけど好感がもてるし。

2巻という短い巻数で勢いよく爽やかなSMを楽しめることと思います。一風変わったラブコメ。普通のラブコメにちょっと飽きてきた人にオススメしたいです。