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すんドめ/岡田和人(全8巻)

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この漫画のオススメポイント

変態行為を題材とした純愛漫画。

主人公のヒデオは、「絶対完全童貞」を貫く浪漫倶楽部の新部長。そんなヒデオのクラスに一人の美少女クルミがやってくる、というベタな設定。でも、そんな彼女は言う。「キミとはSEXしないよ。他のコ達とはしても、行きずりのヒトとしても、地球上で二人きりになったとしても君とだけは絶対にSEXしない」と言われても、彼女のそばにいることを選んだ。それが彼と彼女のルール(首輪)

と、いうまぁ一風変わった変態な漫画ですが、他にない唯一無二の作品。

ツボに合わない人には「絶対ムリ!気持ち悪い!」てなるかと思います。多分、それが普通の反応。ですが、男の欲望すべてを好きな相手に委ねた気持ちの悪い男の純情を感じ取れる人は、手にとってみてほしいな、と思います。

私的感想

漫画は自由であっていいと思うのです。宇宙空間を超えたって、人が空を飛んだって何をしたっていい。次々とクラスメイトと関係したって、それはそれでいい。そのうち、どこかで見たような漫画が並んでくる。

ですが、このラブコメ。ちょっと異質です。

転校生の美少女クルミの席は自分の隣だった。教科書がまだそろわない彼女に教科書をみせるために机をくっつけたのはいいが、彼女の匂いについ反応しかけてたヒデオの下半身。そこに、クルミの消しゴムがヒデオの股の間に落ちてしまうというハプニング。彼女の手がヒデオの股の間の消しゴムに伸び・・・そして、消しゴムを取り上げる瞬間、触れるか触れないかそんな微妙な感じで掠る裏スジ

エロの描写がマニアックで丁寧なのです。でも、決してスケベにはならない。あくまでフェチ(単なる18禁のアダルト漫画ならいろんな変態も描かれますが、最終的に結合して官能のおもむくまま描かれるわけですが、この漫画は純粋にフェチだけが続きます。)

だらしのない顔をさらしたとしても、そんな自分をみる彼女がとても綺麗だから・・・と、あられもない姿をさらし、あまりに幸せで夢か現実かわからなくなったヒデオに生を実感させてあげると両手で思いっきり口を塞がれ・・・そんな彼女がどこかに連れて行ってくれそうで・・・と

絵柄に若干このみが分かれるかと思います(僕はちょっと慣れなかった)。それでも、このフェチの描き方は他にない作品だと思っています。すんドめに限らず、岡田先生の他の作品は、どれも研ぎ澄まされたフェチがこれでもか!と描かれています。

 

https://www.akitashoten.co.jp/series/2049

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若干の…ネタバレ

再三いうように変態漫画です。ですが・・・純粋です。普通、その2つの言葉は同居しない気がするのですが、この作品ではそれが成立しています(普通に考えれば、はっきり言って「気持ち悪い」関係かもしれませんが・・・)

世の中にはいろんなラブコメがあって、主人公とヒロインのいろんな関係が描かれていますが、ここまで変な関係性は珍しい作品だと思います。ただ、関係性は異質(人によっては「気持ち悪い」)かもしれませんが、昨今めずらしい純愛だったりします。

だって、男の最大の欲望の制御すら好きな人に捧げる・・・なんて普通は真似できませんよ。軟弱な男に見えるかもしれない。でも、現実だったら、こんな欲望の制御なんてできるもんじゃない。学生の頃の男なんて、気が付けば盛ってるようなもんですから。

二人は、最後まで肉体的には結ばれることがありませんでした。その後の、クルミはどうなったか描かれてませんが、おそらく最悪の想像の通りの結果だと思います。
一方のヒデオは医者(まだ研修医ですが)となり普通の女性との幸せを手にいれます。心の全てをクルミに捧げてしまったヒデオですが、それでも、その彼女に

「ありがとう」

と、いえたのは、彼の成長でもあったのかな・・・何て思ったりしました。その言葉があったから、この作品は(まだ)救われた気がします。

 

もし、本作品に何かしら胸打たれた人は、同じく完結漫画の「いびつ(全7巻)」も読んでみてください。