きょうは会社をやすみます/藤村 真理（全13巻）

この漫画の概要・オススメポイント

彼氏ナシ歴33年＆処女歴33年の主人公の花笑と一回り以上年下のイケメン田之倉くん（21歳）との恋愛ファンタジー

一人の誕生日を切なく過ごすはずが、気づけばホテルで一糸まとわぬ姿に…。そこから花笑の恋が始まっていく。恋愛系系の無い主人公が、年下のイケメンと付き合い、同じビルの青年実業家からアプローチされるという現実離れのシチュエーションを、割り切って楽しみましょう！

私的感想

妻に勧められました。とにかく主人公がありえないです。大学時代に一度サークルの先輩とホテルに誘われて断った以外は、恋愛の「れ」の字も縁が無いような花笑が、いきなり両手に花状態になります。

amazonの感想でも「ありえない」、「現実感がない」、「酒の勢いでやれるなら、こじらす前にちゃんとした恋愛ができたんじゃないか」、「30歳を過ぎた主人公の視点が幼すぎる」・・・等々と、批判的なコメントが多いのですが、これは『ザ・少女漫画』です。最近の少女漫画というより、一昔前の『白馬の王子様がやってくる』的な昭和な感じの古典です。ベタなところを抑えつつも、ちゃんと現代風にアレンジされてますので安心してファンタジーを楽しめる作品だと思います。

ちなみに、主人公の相手は、大学生の男の子。年下属性の無い人は、同じビルで働いてる青年実業家の朝尾さんという素敵なキャラが出てきます。自分も、朝尾さん推しでした。仕事ができる、ちょっと冷たくて素直になれない・・・でも、花笑のことを見守っている・・・恰好いい大人の男が、花笑の恋をかきまわします。

恋は年齢じゃない、幾つになっても恋ができる・・・漫画のなかならそんな夢をみることができる。いつかは、イケメンの学生や青年実業家に自分の良さを認めてもらえるかもしれない。そんな気分に浸れる本作、いかにも王道で夢みたいな少女漫画を読みたくなったらオススメできる作品だと思います。

若干のネタバレ

主人公の地味設定は最初だけでコンタクトにして化粧も頑張ったら見映えは並み以上・・・。これが、人並み以下のルックスだったらこんな恋には発展しないと思うと、現実の厳しさを痛感してしまいます。

そんな本作ですが、意外と良かったです。男目線なのかもしれませんが、朝尾さんの空回りぶりが気になって仕方なかったです。スペック的には申し分なく、花笑も、彼がダメな理由を見つけることができません。結局、「田之倉くんがいいの！」という自分の気持ちを信じてしまうのですが・・・そのあたりは、やっぱり王道な感じですね。

最後の方は若干テンポが遅くなり、連載を引き延ばしてるようなストーリーが続きます。でも、最後はバッチリ決めてくれるのか？と思いきや・・・うーん、予定調和なハッピーエンドです。

その中でも、際立っていたのは、当て馬の朝尾さんの大人な恋愛観でしょうかね。個人的には、良い人キャラが強く人間味の薄い田之倉くんより、持っているのに選ばれない・・・そんな朝尾さんが傷つく姿が一番ツボだったかもしれないなぁ。安定な少女漫画では、朝尾さんと結ばれるというエンドは難しいでしょうね。

強くオススメできる作品ではないかもしれませんが、テンポよくサクサク読める作品なので２～３巻まで読んでみて王道な少女漫画で違和感ない人か、もしくは颯爽とした朝尾さんの裏の苦悩に惹かれる人は楽しめると思います。