キュビズムラブ(全三巻)/松本テマリ(漫画) ・ 芝村裕吏(原作)
この漫画のオススメポイント
事故のせいで箱になった中学生の少女、典子。
そんな女の子が担当のお医者さんに憧れる…そんなお話。
女の子が主人公なのに女の子が出てこない不思議なお話。 でも、ただの箱が可愛い女の子に見えてしまうから不思議。
少女向けライトノベルであるビーズログ文庫から出版されたライトノベルをコミカライズ化 ちょっと、ほのぼのする不思議な感覚の作品です。
私的感想
前半の・・・箱だけになった女の子の描写(コマには箱しかないわけですが)は、本当に不思議で、ほのぼのする作品でした。 ただ、(残念なことに?)ほのぼのしていたのは前半だけで、後半は秘密の組織が出てきたり戦闘機が飛び交ったりドタバタします。このあたりが賛否両論あるのですが・・・まぁ、何かしら完結させる上では何かしらの動きは必要だったのだとは思います。
事故にあった少女典子は自分が無機質なカタチをした箱になったことに多少の混乱しますが、最終的には箱になった自分を受け入れます。受け入れた・・・のかな、担当の篠田という若い医者と二人だけの世界が彼女のすべてになり、それを大事にして、箱になった自分ができることを健気に一生懸命かんがえています。
そこに研究目的だったりいろいろな理由で人が近づいてきます。次第に、篠田の家のことやら、箱の技術のことで、サスペンス色が濃くなってきます。いろんな思惑が交差していくスピード感にただただ戸惑い・・・ネットの感想を見ていても、後半は否定的なものも少なくなかったように思います。
と、賛否いろいろある作品ですが、ただの箱を少女たらしめる描き方は、もう見事な表現だったと思います。 原作者も作画の方もいろいろ試行錯誤されながら・・・でも、楽しんで書かれていたのが強く伝わってくる作品です。
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若干の…ネタバレ
不自由な分、残ったものが繊細かつ鋭敏になる―― 顔の美醜もわからなければ、音声以外のコミュニケーションはできず、自分の思った場所に行くことすらままならない そんな黒い箱の中身は中学生の少女 若い医師にドキドキし、脳波をみられて恥ずかしがる・・・照れてる箱。照れてる箱って何やねんww
若い女の子の生き生きとした表情もすべてを切り捨て、箱の中にある彼女の心。 対物性愛のフェチともまた違う。不思議な話。 いろんな情報が削られているから、逆に少女の気持ちが強調される。このあたり作者の思惑通りだろうなぁ・・・と思いながらニンマリする作品でした。読んでるこちらが照れる。で、気づいたら心が洗われてる・・・そんな感じ。
箱というカタチの女の子は、人(意識)としては生きているのですが、女の子としては生きていないような状態で。そんな不遇に負けずに、普通の女の子以上に生き生きと生きたからこそ、
後半のドタバタはありますが、最終的には大団円といっていい終わり方でした(とはいえ、気になるキャラのその後はありますが・・・それは小説なりで読めるみたいです)