完結漫画ブログ

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学糾法廷/小畑 健 (著), 榎 伸晃 (原著)(全3巻)

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この漫画のオススメポイント

ネットで本作を調べるとびっくりするほど低評価の暴言の数々。それが逆に気になってきた本作。小畑信者および推理モノにきちんとしたロジックを求める人には不向きな作品だけど、個人的にはそこまで悪い作品とは思いませんでした。

学級崩壊が問題視され凶悪犯罪が次々に起きたため、政府は小学校の定番の『学級会』に裁判制度を導入し、国から派遣された検事と弁護士(どちらも小学生)が真実をめぐって争うことに・・・

と、ある小学校に二人の転校生、一人は容姿端麗なかわいらしい女の子、もう一人は、趣味が論破という悪趣味な男の子。さてさて、どうなることやら

私的感想

先に書いたように、本作、思いっきり評価が悪いです。アンチな人が叩いてるだけかと思いきや、評価する人もろくにいない、という、なかなか厳しい状態。

それが逆にそそる・・・というか、気になりませんか?どうしてここまで評判が悪いか。

悪評の内訳(?)を見てると、小畑先生の作品を敬愛してる方が一定数いるようで。デスノートにしてもヒカルの碁にしてもファンが多いですからね。こんな作品に小畑先生の才能を無駄遣いするな、と。

次に多いのが、推理モノに対する謎解きの杜撰さや、トリックの無茶さに対するいら立ち・・・なんで小学校に5メートルの深さのプールを用意するんだよ・・・とか。漫画なんだから、非現実でもいいとは思うけど度が過ぎてたり、他作品の二番煎じだったり・・・と

それらを我慢して読んだけど、結論の持って生き方に納得がいかないという層が結構いて(実は自分もそれは思うんだけど)。ただ、打ち切り漫画の宿命というか、無理やりオチをつけさせた編集部も酷いなぁ・・・と。きちんとした終わり方ができれば、この作品は批判だけで終わらなかったはずなのに。

あとはいろいろ。小学生の女の子が胸が強調されすぎているのが気持ち悪い、とか、小学校でそんな凄惨な事件が起きるのは現実的でない(漫画だし)とか、刑の重さに対して量刑が適当すぎる、主人公の趣味が論破という設定だが論破というより屁理屈な感じが不快、学校の中に事務所を作って場所を占有してる側が違法だろ、セーラームーンに詳しくないのに判事役の女の子になんちゃってセーラームーン的な恰好をさせるなよ・・・とかとか。なかには、坊主憎くて袈裟まで憎いのか、という感じの屁理屈じみた指摘もチラホラ・・・。

ただね、読みやすいんです。細部を指摘して作品の悪いところを列挙するより、気楽にサクサク読んでいける作品ではあると思います。1つ1つの木を見てると歪みは目立ちますが、木を見ず森を見ている分には読みやすくていい作品でしたよ。

自分なんかは、学級会にはあまりいい思い出がないのですが(担任のこだわりで帰る時間が遅くなった思い出しかなく)、本作で描かれる学級会の破天荒ぶりは嫌じゃなかったです。まぁ、いろいろ詰め込んで、芯がぶれまくった感はありありだけど、気楽に読む分にはそんなに叩かれるような作品ではないと思いますがいかがでしょうか。 

若干の…ネタバレ

 

最初に読み終えた時「おそらく読み切りで駆け足になっちゃったんだろうなぁ・・・」という印象が強い作品でした。主人公の犬神アバクの趣味が論破というのも多少の嫌悪感はありましたが、まぁ、所詮、子供の言葉ですからね(ただ、それを子供に読ませることは大人にとってどうなんだろうとは思わなくもないですが)。まぁ、総じて、読みやすかったし、そんなに悪い印象ではなかったのですが、ネットの評価がすごすぎて、さらに面白くなってしまった作品でした(一度で二度おいしいというか)

この話は、とある学校の1年生のクラスで『血の学級会』というクラス全員が惨殺されるという悲惨な事件が起こったという背景で始まります。まず、一年生が1クラス全員が死ぬほどの荒廃ぶりってのが無茶苦茶なわけですが・・・そのあたりにつっこんでたら、未来からきたロボットが都合のよい道具をだしてくる漫画とか、オナラで空を飛ぶプロレスラーとか大半の漫画が成立しないわけで・・・

で、そんな荒れ切った小学校の立て直しとして、国が導入したのが学級法廷制度。問題が生じた学級に判事と弁護士(ともに小学生)を派遣し、学級法廷で裁く、というもの。

そして天秤小学校に二人の転校生がやってくる。一人は可愛らしい女の子で判事でもあるパインちゃんと、趣味が論破という悪趣味な弁護士、犬神アバク。彼らがやってきて、そのクラスでは次々に事件が起きる。まるで彼らが呼び寄せたかのように・・・

クラスで飼っていた魚が殺されるという事件を皮切りに、カンニング事件、盗撮事件に魔法の粉事件・・・そのうちアバクの過去が少しずつ見えてくる、と。

最後の駆け足、というか、言ってしまえば、発端となった血の学級会の扱い方が雑だったのがどうしても勿体ない。でも、子供には生徒全員を惨殺できるはずがない、侵入者がしのびこんだ形跡もない、となれば、おのずと真犯人はみえてくるはずだけど、そこに驚きがなかったのが残念といえば残念。最後を、それっぽい感動のエンディングにしようとしたことが、余計に空々しさを与えるというか・・・

でも、ネットで言われてるほど、読んで損したとかそんな風には思えなかったです(なんだかんだと小畑先生の無駄遣いが腹立たしい層が多いのかな?)。ただ、買うか?と言われるとちょっと悩んでしまいそうですけどね。漫画喫茶で1時間ちょいで読める本を探してた自分には悪くなかったです。