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君とガッタメラータ/松橋犬輔(全3巻)

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この漫画の概要・オススメポイント

アンラッキーなパンチを1つ受けて引退を余儀なくされた元ボクサー肩岡進。夢破れ、心も体も反応しない日々を過ごす冴えない彼が、美大のヌードモデル中に真剣なまなざしでデッサンを続ける手嶋由依に息子が大反応!

憧れの女神に近づこうと、進が選択したのは何と美大受験予備校への入学するも…。邪な気持ちから始まった芸大への挑戦の行く末は?(ちなみに、ガッタメラータは、美術のデッサンでよく使われる胸像のこと)

私的感想

3巻完結なのですが、打ち切りだったみたいです。実に惜しい。十分、話の広がる余地はあったと思います。今後も引っ掻き回してくれそうな個性的なキャラも多かったのに…。

まず、導入がインパクト大でした。男性機能が役に立たなくなった主人公の絶望に、突如あらわれた女神・・・男性諸氏であれば、この喜びは本当に大きなものだということが分かって頂けると思います。そんな下ネタから始まった本作ですが、気づけば真剣にデッサンに向き合う主人公の姿勢にぐいぐい引きこもれてしまうでしょう。予備校で一番のデッサン力をもつ指原の策略で絵の指導を受けてデッサンの魅力に気づいていく片岡。この指原という男がとにかくクセの強い男で・・・その偏った個性との主人公の対比がなかなか熱くて面白い!

残念な打ち切りで3巻という冊数で終わってしまいましたが、尻切れトンボのようによく分からない終わり方をせず、ちゃんと結論は出してくれてます。デッサン以外の展開やヒロインとの関係とかをもうちょっと見たかったなぁ。

とはいえ、3巻分は、十二分に楽しませていただきました。今度は今度は作者の他の作品にも手をだしてみたいです。

 

若干のネタバレ

不純な動機からのスタートでした。でも、それは肉体的なものばかりではなく、ボクシングを失った主人公の新たな生きる目的となったのです。キッカケは何であれ、好きなことがある人は本当に強い。それを感じさせてくれます。

ずっとボクシングを続けてきた片岡にとって地味な反復練習は苦痛ではなく、むしろ普通の人よりもそれを続けられる・・・だからこそ、絵にまったく縁のなかった男でも、美大の受験予備校の予備校生にどんどん追いついていくことができます。ただ、どうしても分からない壁がある。それを教えてくれた指原という男が、これまた性格が歪んでいて面白い。

デッサンは誰よりも上手い。だからこそ逆にモチベーションを維持できずに入試で失敗してしまった指原は、片岡を利用して予備校に混乱を生み、それで楽しもうとする性悪男だったが、次第に片岡に感化されて・・・お、なんかいい感じじゃん?と思いきや、指原大暴走!でも、この指原という男の人間臭さが嫌いになれないんだよなぁ。そして、その指原にちゃんと向かい合う片岡の姿勢。いやぁ、漢でした。

美大の予備校を舞台にしてるものの、ライバルとの静かな駆け引きは本当に見ごたえがある王道ストーリー。ホントに、もっと続きが読みたかったものの、これでも十分たのしめました。なんで終わっちゃったんだろ…勿体ないなぁ!